うつの既往歴があると再就職できないか。Jwave makeit21 9/24解説

先日、生出演させていただいた番組の相談について補足します。
相談内容は、以前うつ病にかかり回復したものの、再就職の際に「うつになったことがある人はリスクがある」という理由で断られてしまうので、二度と就職できないのでどうしたらいいか、という話でした。
私の見解は、既往歴であって現在は病気の症状があるわけではないので、申告する必要もないというものです。
さらに、私の専門ではないのですが、採用の規定について考察してみます。
採用試験は
「業務遂行に必要な知識や能力を持っているか否かを判断し、企業にとって必要な人材を採用するために行うもの」です。
また、採用面接の目的は、
1 テストや資料にあらわれたデータの総合的評価
2 お互いの情報交換
3 適性や能力の判定
とされています。
よって、質問内容については、生い立ちや、家庭環境などを聞くものはNGです。
また、健康診断も、採用目的の画一的な健康診断は実施してはいけません。
雇入時健康診断は労働者雇い入れた際における適性配置、「入職後の健康管理」の目的でなされます。
つまり、選考時に行うことは原則的にはできません。
例外的に健診を実施する際にはその理由が誰もが納得できるものであり、かつその目的と検査項目について本人に説明し、本人の了解を得てから行う、とされています。
合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることも就労差別につながるおそれがあります。
現在、労働局は「就職差別の解消」に力を入れているように見えます。
たとえば、エイズ検査、HIVの検査も受けさせることは許されません。
肝炎ウイルスの検査についても、労働者が通常業務で感染したり、他の労働者へ感染させたりすることは考えられず、また多くの場合肝機能が正常である状態が続くため基本的には就業に当たっても問題もないといえます。
以前は、雇入時の健康診断に色覚異常の検査がありました。
しかし、大半の方は支障なく業務を行うことが可能であることが明らかになってきて、現在、採用時に色覚検査を行うときは「職務内容との関連でその必要性を検討」しなければならないとされています。
以上のことから、現在症状が安定している「うつの既往」は職務遂行に問題がないと思われるため、
それを聞き出すことは就職差別に当たるのではないでしょうか。
企業は「うつになったことがあるという理由で採用しない」と明言すれば
就業差別でむしろこの企業にとってその職員はリスクある存在と言えるでしょう。
ただし、通院中の方は平日に休みを取って通院したい、などという事情から面接の際に申告することが多いようです。
就労後のことを考えると、現在症状がある方は申告しておいたほうが、いいと思います。
ちなみに就労差別として採用面談でやってはいけないことには、
本籍地、出身地、思想及び信条等の個人情報の収集が挙がっていました。