「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」を第186回通常国会へ提出

2014年3月13日、厚生労働省ストレスチェック制度を盛り込んだ「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」を第186回通常国会へ提出しました。
要約すれば、
・労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師、保健師等による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務付け。ただし、従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務とする。
ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査時間を通知された労働者の希望に応じて「医師による」面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聞いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮そのたの適切な就業上の措置を講じなければならないとする。

以上のような内容で、過重労働面談と同様、該当者には医師の面接、すなわち産業医の面談が必要となります。
現在従業員100人以下の企業では、法令で産業医設置義務のある50人以上の事業所でも半数以下の事業所が設置していないというデータもあります。

現在様々なEAPがストレスチェックを販売し、営業が過熱しつつあります。カウンセラーをセットにしたものが多いのですが、それよりもまずは法令で規定された「産業医の設置」がまずは急務となるでしょう。
条文に記載されている就業場所の変更、時間短縮などは医師の意見をもとに事業者がするものです。
カウンセラーはあくまでも福利厚生と見なければなりません。
事業者は賢く使い分けしていかなければなりません。

労働安全衛生法の一部を改正する法律案より、関連部分を以下に抜粋
(平成26年3月13日提出)

参照 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/186.html

第三 心理的な負担の程度を把握するための検査等

一 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならないものとすること。
二 事業者は、一による検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならないものとすること。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならないものとすること。
三 事業者は、二による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して 厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないものとすること。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
四 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、三の面接指導の結果を記録しておかなければならないものとすること。
五 事業者は、三の面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならないものとすること。
六 事業者は、五の医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見 の衛生委員会若くは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならないものとすること。
厚生労働大臣は、六により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとすること。
厚生労働大臣は、七の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができるものとすること。
九 国は、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持に及ぼす影響に関する医師等に対する研修を実施するよう努めるとともに、二により通知された検査の結果を利用する労働者に対する健康相談の実施その他の当該労働者の健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるものとすること。
十 一の検査又は三の面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならないものとすること。
十一 産業医を選任しなければならない事業場以外の事業場についての一から九までの適用については、当分の間、一のうち「行わなければ」とあるのは「行うよう努めなければ」とするものとすること。