働く女性20−30代で7割に:日経新聞7月13日

以前、私自身の保育の体験を書きましたが、産業現場の女性社員、女性外来の子育てを終えた女性などなど様々な方から、驚きの声をいただきました。
私は、どうも生活感がないようで、そんな苦労したとは想像していませんでした、という内容の御意見が多く、同様の苦労をしている方々の励みになったらと思い、医師としては専門外ですがしばらく子育ての話は書いてみようと思います。
一昨日の日経に子育て世代の就労率が上がったと記載がありました。
M字カーブと言われる日本に傾向が強い子育て世代の女性の低い就労率が上昇し、欧米に近づいてきたというのです。
実際、産業医として会社を見ていると、寿退社は少ない。
妊娠して退社というパターンはよく見ますが、
大企業ではその傾向は減ってきている。

しかし、実際育児は休暇明けても続くのです。
その苦労は時間的精神的余裕の欠如より夫婦関係を悪化させたり、女性の過労による体調不良につながることも多いですし、子供へのしわ寄せもいくことがあります。
また、1,2歳のころは子供の病気など予想外の出来事が満載です
代替可能な仕事ならいいのですが、昨今の人員削減でぎりぎりのスタッフ配置で業務をこなしていたり、私のような資格職の場合は何が何でも出勤しなければなりません。
保健所時代に、保健師さんは複数いらっしゃるので休みやすいのですが、医師は所長以外一人。
医師がいなければ、保健所の予防接種や健診業務ができません。
これは病院の勤務でも同じです。子どもの病気を理由に外来を休むわけにはいきません。
当直もどうするのでしょう。先輩の女医さんは子供と一緒に当直したと言っていました。
そうさせてくれれば助かりますが、なかなか子供と当直させてくれる病院も少ないものです。
私の場合は、娘が喘息もちで、保育園で病気を片っぱしからもらってくる状態。保育園で預かってもらえない日が多かったのです。
今でも、心痛むのは先輩の女医さんからのアドバイスで、
娘が発熱したときには保育園は預かってくれないので、解熱剤で熱を一時的に下げ、数時間後にまた上がるのをわかっていながら保育園に預けて出勤しました。
保育園から「熱が出たのでお迎え来て下さい」という電話がきませんように、と祈りながら、職場で自分の業務をこなし、
電話がきた際には「お迎えいきます」と適当にごまかしながら、すぐには帰れず仕事が終わるまで子供を保育園に放置していたのです。
子供が可哀想で、自己嫌悪に陥ることも多かったものです。
そこまでして、この仕事しないといけないのか、としばしば考えるようになりました。
折角、娘がいるのに。こんな生活をするために子供を産んだわけでない、と思う一方、自分のキャリアとのバランスで随分悩みました。
結局、その後、引っ越し先で保育園に入れず、託児所に入れたところ、3歳までしか預かってもらえないため
幼稚園の受験も視野に入れないといけない事態になり、平日に時間が取れない、通常勤務は厳しく、保健所勤務を辞めました。
そして、自分の時間、子供の世話、他の人の手を自分でマネージメントできるように開業したのでした。