経験はお金では買えない

最近、年上の友人との会話で出てきた言葉です。

医師は若いうちは大学病院や病院勤務で経験を積みますが、報酬は安く、
週末や研究日のアルバイトで生計を立てます。
そのためか、週末の仕事や講演、勉強会は特に違和感ないのですが、様々な会社で産業医をしていると、
「先生、よく働きますね」
と感心してくれます。
週末と平日は仕事と言っても、内容が質的に異なるため、ある意味、どちらも趣味的な気持ちで取り組めるから、勤務時間が長くてもそれ程は気にならないのかもしれません。
報酬を頂く場面、無料でも仕事をする場面がかなり分かれており、そのような仕事の仕方に慣れてます。

ところで、今年に入って様々な仕事の話を頂いてます。
大学で安いお給料で仕事するのは慣れているのですが、
民間企業からの依頼で破格ですと、多少気になるものです。舐められているかしら・・、と。
そこで友人にその話をしたところ、
「辞めたら」という意見と
「経験はお金で買えない」という意見がありました。

その瞬間、ハッとしました。
いつの間にか、お金で仕事を見ていた自分がいたのです。
もともと大学院まで出て30過ぎて子供が生まれるまでは稼ぐことに興味はなかったはずなのに・・。
パリ大学に留学したときも、奨学金が出たにも関わらず、若くて経済的にも早く一人前になりたいという気持ちもあり迷ったことがありました。その時にも友人に似たような言葉をかけてもらい、留学に行き、今の自分にとって大変有意義な経験や御縁をいただくきっかけになりました。

今の私の年齢ならば子供もいますし経済的事情を考慮するのは社会人として当たり前のことですが、幸い現在余裕もあるのでもっと広い視野で仕事を考えて今後に繋げていかなくては、と気づかせてくれました。
実際に、有意義な経験をしていらした方の言葉だから、さらに心に響きました。