20−30代の「いわゆる」新型うつの対応①

最近、外国人の精神科医に、「なぜ日本の若者は休職が多いのか」と訊かれました。
私が日本人を代表して明確に「・・・だからです」とは言う自信はないのですが、
マスコミでよく耳にする「新型うつ」の増加は無視できません。
社会背景として、
ロストジェネレーション、IT化による過重労務負荷やコミュニケーション能力低下などが挙げられます。
また新型うつと言われるタイプの特徴としては
他罰的で退避傾向が強いことから、業務負荷が少しでも限度を超すと休みがちになる。
従来型のうつは罪責感が強く周囲への申し訳ない気持ちを訴える方が多いのが特徴ですが、
新型では、罪責感が欠如、休職を繰り返しても、周囲に迷惑をかけて悪い、という気持ちよりはむしろ、社内の制度を熟知して最大限利用する傾向が強い。そのため周囲の同僚、上司から共感を得にくいことが多いのです。
「選択性うつ」で仕事には来れないが週末は家族や友達と遊びに行けるという、周囲から見たらサボりと受け止められる軽い症状も特徴の一つ。

このような特徴を持つのですが、実際には自殺につながることもありますから、
きちんとした対応が必至です。

ゲーム・ネット世代で、休職中に外出できないという症状が続き、自室にこもりきってゲームやネットに耽る社員もいます。
ひどいケースでは布団から出ずにスマホをいじって過ごすこともあります。
そのためまずは生活リズムを整えなければなりません。
私自身、産業医としての休職者の対応の最初は「ゆっくり休む」ですが、
ある一定のレベルまで回復したら早いうちに睡眠覚醒リズムを整えていただき、
可能ならば外出をおすすめし、行動活性して頂きます。
起床のコツをよく聞かれるのですが、

まずは3つ

  1. 起き上がるのが辛いときは手足をゴキブリのようにバタバタ動かし末梢の血流を良くする
  2. カーテン全開
  3. カフェイン飲料

それでもだめなら熱いシャワー

このような単純なことですが、20代の方に「この方法で朝から出社できるようになりました」
と多くの方から感謝して頂いてます。
小さなことですが、支援が大切なのです。
このような生活リズムの調整をした後に、認知の修正に入るのです。
では、それについては次回に。