女性の健康増進を支援する法律

先日、産婦人科学会のシンポジウムに参加しました。

自民党が選挙前から提言していた、「女性の健康の包括的支援の法律」の必要性を再確認する話でした。
私は女性外来をさせて頂いているため、すでに知っている内容の話でしたが
疾病の切り口、周産期、思春期、子供の貧困の話など、身体的な問題を社会経済的問題、
さらに就労女性の健康問題にまで関連させてまとめてみると、改めて問題の大きさを実感するいい機会でした。

特に産業医として働く女性の子育て・介護との両立と健康問題に、日々直面しています。
子供と仕事を優先するあまりに、女性が自分自身の健康へ配慮できていないか。
家事と仕事で休養も取れない、少し調子悪くても病院にも行けない、ということも多々あります。
私自身も反省してますが、平日に通院時間などなかなか取れず、気が付いたら今年は健診も受けていなかった、ということもあります。
実際に子供の予防接種率も働く女性では、主婦よりも低いという話を聞いたことがあります。
子供のケアもままならないのであれば、働く女性では自分の健康へ配慮する時間的余裕はないでしょう。

現在、少子化対策とともに女性の幹部を増やすなど、一気に「女性が活躍できる」社会の実現に向けて、急速に動いてます。
しかし、保育所の不足、キャリアを選んでも一定の地位になるまでは「深夜残業が当たり前」の働き方をしなければならないようなマネージメントが今でも主流です。
これでは、子育てしながら幹部になるまでの実力をつけるのはかなり厳しいでしょう。
女性幹部だけを増やそうとしても、単なる数字合わせでは、よくある批判のように実力がないのに女性だからという理由で抜擢されることになるでしょう。
より、包括的な視点で、「女性幹部の育成ができるような制度づくり」を「子育て支援」とともに実施していくことが女性幹部を増やすには必須です。

私がフランスで生活していた時のことを思い出すと、フランスでは女性が普通にキャリアを積み、教授や政治家となり3人くらい子供がいるのは当たり前でした。

日本も早くそのような時代がこなければ少子化問題高齢化社会に伴う労働力不足の問題は解決しないでしょう。