どこで誰にうつされた?

最近デング熱の話題でマスコミでも湧いてます。
全国に感染拡大する中で、代々木公園に行っていないのに「どこでうつった?」という内容が増えています。
私は保健所に勤務していたころに結核についていろいろな経験をさせていただきました。
また、眼科では流行性角結膜炎の症例をたくさん見てます。
感染症の報道で怖いのは、「どこで誰にうつされた」という感染源対策は行政の対応としては大切ですが、
個人やマスコミがそこを強調し過ぎると「犯人捜し」に陥ってしまうことです。
感染源の検索は専門家にとって必要な作業ですが、一般人は「感染源を特定する」というより「身を守るという自己防衛」の視点がより大切です。
感染症で撲滅が難しいのはどこにでもいる「蚊」が媒介するマラリアと言われています。
また、不顕性感染もあるデング熱は知らないうちに感染拡大するため大変難しいものです。
蚊がこの世からいなくなれば、撲滅できるでしょうが、そのようなことは非現実的です。
日本ですら蚊がこれだけいるのに、下水のインフラが整っていない、かつ常夏の途上国では、蚊の対策はなかなか進みません。
そのような地域では、感染源検索でなくインフラ整備や「自己防衛」の教育・啓発を進めています。
デング熱が感染拡大した今となっては、日本でも蚊がいるところであれば全国どこでうつっても仕方ないのです。
私たちが最もやらなければならないのは「蚊から身を守ること」です。