採血でストレス測定:産業保健に応用できるか?

5月5日の日経新聞の有料会員限定記事に、
「血液でストレス測定 人間ドック運営の健康開発 過労防止、企業に助言」
とありました。

 会員制人間ドックの会社が、ストレスを感じると副腎が分泌するたんぱく質「サイトカイン」「ケモカイン」が増えることに着目し、血液成分からストレスを測定する手法を開発したというもの。これらの血中濃度に基づき独自手法で数値化するとのことです。
 
現在、私自身、外来ではメンタルの患者さんには必ず一通りのホルモン検査を実施しています。特に甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンは、うつ状態やストレス状態の程度で変化するので参考になります。副腎皮質ホルモンであるコルチゾール、上位ホルモンであるACTHなども含めて判断します。

一方、ストレスチェック実施の法制化が決まるなか、ストレスチェックにより「本当に必要な人に支援するような体制が確立できるか」が課題になっています。
バイオマーカーのような、より客観的な指標が確立されていけば、的確に企業内の要支援対象者をスクリーニングできることになり、有用となるでしょう。

 客観的数字というものは一般的に「科学的に見える」ため説得力があります。
このようなストレス検査と健康診断結果を組み合わせれば、メンタル疾患やストレス性障害のハイリスクグループを抽出することができ、うつ病などの精神疾患の早期発見や過労防止に役立てるよう企業に説得しやすくなります。
例えば残業制限や休暇の取得の促進などといった職場の環境改善に向けた助言も可能となるでしょう。