メンタルヘルス対策の必要性:企業業績との関係

 休職といえば今のご時世メンタルによるものがかなりの割合をしめてます。休職者が増えて部署内で仕事が回らない、なんて経験はかなりの方があると思います。
私が産業医として面談をしている部下について話に来た管理職が、
「今度はぼくがかかるから」と冗談を言って帰ることがよくありますが、冗談にならない問題です。
部署内の仕事が回らないのは管理職にとって頭の痛い問題です。
ではもっと視野を広げてみます。

メンタルヘルス不調による休職者比率上昇→部署内で仕事が回らない→企業業績が悪化する??

ここまで言えそうですが、実際にエビデンスがあるのでしょうか。
この命題に対する答えと言える結果がRIETI(経済産業研究所)に書かれてました。
具体的に言うと「メンタルヘルス休職者比率の上昇は中長期的には売上高利益率を低下させる可能性」があるのです。


以下、独法 経済産業研究所の記事です。http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/14j021.html
「企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績−企業パネルデータを用いた検証−」
メンタルヘルスの不調が企業業績に与える影響を検証したところ、図に示されているように、メンタルヘルス休職者比率の上昇は中期的に売上高利益率を低下させる可能性が示された。固定効果モデルの推計結果からも、メンタルヘルス休職者比率は2年程度のラグを伴って売上高利益率に有意に負の影響を与えることが明らかになった。従業員全体に占めるメンタルヘルス休職者比率は平均でみると1%未満と低い。しかし、休職者が多い企業ほど業績を押し下げているとの結果が示されたことは、水準自体は低くてもメンタルヘルスの休職者比率が労働慣行や職場管理の悪さの代理指標あるいは先行指標になっていると解釈することもでき、メンタルヘルスの問題が企業経営にとって無視できないものとなっているといえよう。