皮膚トラブルとメンタルヘルス

産業医として受ける相談で比較的多いのが皮膚トラブル。
ストレスでアトピーが増悪した、過重労働で湿疹がでてきた、などなど。
先日もアトピーの方がうつ状態の診断書とともに休職に入った。
人事の方に、「どうしてアトピーとメンタルが関係あるのですか」と聞かれた。
このような例はよくある。
ストレス反応により、皮膚症状が出現し、そこでさらに生じる不適切行動として掻破行動、つまり無自覚に掻きむしるという行為が生じる。
そして皮膚症状がさらに悪化して、さらにそれがストレスになって掻いてしまう、という悪循環である。
私がお世話になっている東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの檜垣教授が専門としていらっしゃるが、「サイコダーマトロジー」という分野がある。
つまり、サイコ=精神 ダーマトロジー=皮膚なので、皮膚科と精神科の融合した医学である。
ストレスがたまり、このような現象が生じることにより、上記のように休職に至るケースもある。
「メンタルと皮膚」は全く異なる分野と思いきや、密接な関係があることを人事担当者は社員の健康を理解する上で認識しておくといいと思う。

ところで、このような症状への対処法として檜垣教授は「スクラッチ日記」を勧めている。

掻破部位や、きっかけ・状況を記録してもらうのだ。
これをつけることにより掻破行動を自分で強く自覚するようになり、また掻破行動が始まるきっかけや状況を明らかにし自覚を高め、
そして掻破行動を自覚することによりこれを修正することができるというものだ。
このようにして再燃を防ぎ、症状をコントロールできるという。