イクメンうつ

最近働く女性のストレスについて書いてますが、負荷がかかっているのは女性だけではありません。
ついつい女性目線で見てしまいがちですが、私が産業医面談する社員には30代男性で小さなお子さんをお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。
私の面談対象となる年齢層でメインと言ってもいいかもしれません。
一般的に、男性は以前にも増して、企業が効率化を図ったゆえに長い就労時間の上、一人当たりの負荷が重くなったと言われています。
厚労省によると「子育て期の男性の約5人に1人が週60時間以上就業」とあります。
法定労働時間の週40時間を20時間も超えているということは月にすると超過労働時間80時間以上になってしまいます。
このような身体的ストレスと、プレイヤーとして成果が求められる世代であるが故の精神的ストレスに子育てが重なることが多いのです。
そのストレスを上手に処理できないまま精神疾患を発症する男性が実に多いのです。
その上、会社でのストレスを解消する時間もなく、自宅では子育ての手伝い。
そして、夜泣きや夜中のミルクのお手伝い・・・。
イクメンも楽しめる範囲であればいいのですが、育児や子どものイベントに駆り出されてしまい、
疲れが取れないまま週末が過ぎてしまうことにより治療がうまくいかない例もよく見かけます。
必ず仕事の負荷だけでなく、小さなお子さんがいらっしゃる男性には「家での過ごし方」を細かく問診してます。
治療中も帰宅後の居場所がなく休まらない、休職中も家事や育児の手伝いなどをしてしまいがちです。
場合によっては、奥さんに会社に来ていただき、家庭での療養環境の大切さについてお話させていただいてます。
妻の視点で見ると、家にいるならもっと手伝って、と思ってしまいがちですが、
産業医の視点でみると、いかに上手に休ませてあげるか、で復職への距離がぐっと縮むのです。
自宅で上手に休養が取れない場合には、早めに入院をすすめることもあります。
自宅での療養環境が確保しにくい「イクメンうつ」は妻とその周囲が支援してあげることがとっても大切です。