共働き女性は専業主婦より自由時間が1時間以上少ない

男女平等のもとに女性も働き手になっていると前回書いたが、
そこでやっぱり気になるのが、女性の健康問題。
子供が小さい(6歳未満)共働き世帯の日常生活の時間配分について面白い結果があります。
厚生労働省の「平成23年版 働く女性の実情」によると
共働き世帯では女性の家事関連時間が5時間37分、仕事時間4時間19分、この和は9時間56分。
夫の家事関連時間は59分
専業主婦世帯では女性の家事関連時間が8時間40分
夫の家事関連時間は59分
夫の就労時間は8時間42分で共働きでも片働き世帯でも同じ結果だった。

上の結果から、女性の産業医として気になること。

まず、共働き世帯の女性の家事、就労時間以外の時間が専業主婦に比べて1時間以上少ないこと。
そして、夫の就労時間や家事時間が変わらないことから、家事の負担については共働き世帯の女性も専業主婦と同様の負荷がかかる。
それにもかかわらず、家事関連時間が両者で約3時間も違う。
育児時間でみると、共働き世帯の女性で2時間10分、専業主婦で3時間50分と1時間40分の差があるが、それを差し引いても家事関連時間が1時間20分も違う。
つまり、共働き世帯女性の家事負担は夫の支援は専業主婦との差はないため、「家事の量的」には両者は同一と見なせるにもかかわらず、
家事全体でみると3時間もの差、保育園などの支援もあるため育児時間を差し引いても、まだ1時間20分も差があるのだ。
よって、働く女性は、帰宅後、かなり急いで効率よく家事をしてもその後の自由時間が1時間20分も少ないのである。
この差は、睡眠時間のしわ寄せになっているかもしれない。

実際に女性社員の産業医面談では、「仕事は楽しくやっているけど家に帰ってからが忙しくて。いつになったら楽になりますか」という質問も多い。
私自身、子供が小さいころは週明けはホッとした記憶がある。
平日は家事時間が足りず、週末にやり残した家事や普段はできない子供の世話をしていると、
嵐のような無秩序な時間が流れ、楽しいものの体調が悪い時はつらかった覚えがある。
大抵は疲れは果てたまま月曜日を迎えていた。
月曜日に出勤して、大人の普通の秩序ある時間が流れ始めると肩の荷が降りた気がしたもの。
当時、男性上司にその話をしたところ「罰あたり!」と言われてしまったが、
女性社員の産業医面談では、同じことを感じている人も多いとわかって少し安心した。

これは上記の数字にも表れている「働く女性のストレス背景」として、女性の就労を支えようという流れの中、職場も夫も認識していく必要があるだろう。

女性社員の産業医面談では子育てや家事労働の負担と仕事の負担の両者が心身のストレスに大きく影響することを忘れてはならない。
男性は既婚であることは生活態度の安定につながり健康的になることが多いが、働く女性では負担が増えるのだ。

育休3年もいいけど、キャリアを目指す女性には長すぎる。二人も産めない。
女性を休ませるよりも家事負担を減らし仕事に集中させるべく、
ベビーシッターチケットや託児所だけでなく、ハウスキーパーチケットなどを福利厚生で用意してくれたら、企業の生産性にも寄与するのではないかと思う。