女性の気分障害〜女性の心理社会要因と性ホルモンの考慮が必要

精神疾患の生涯罹患率は、うつ病で女性が21.3%、男性12.7%で女性の方が多い。
その他も気分変調症、パニック障害全般性不安障害、神経性食思不振などが女性の生涯罹患率が男性に比べて高い(Burt et al)
女性のうつ病の特徴は、性ホルモンの影響を強く受けていることである。
月経関連(月経前不快気分障害PMDD)、産後うつ病、閉経期、更年期のうつ病などが挙げられる。

また、心理社会的要因としては、女性のライフサイクルが男性と異なることを常に考えなくてはならない。
上記の図は女性のライフサイクルを上手に表現しているので引用した。
男性のライフコースは単一で「仕事中心」が多く、仕事における成功、経済的側面により健康が左右されることが多い。
ストレスのパターンも多彩ではない。
それに対して、女性のライフコースは複雑であり、様々な就労形態、世帯状況の者がおり、それらが複雑に絡み合ったうえで健康状態を決めている。
ミクロな視点で具体的みると、多いトピックスは「子育てと仕事の両立」や「子供の巣立ちや介護」、「夫の退職後の夫婦関係」などが挙げられる。
また、更年期時期の不調と介護の時期が重なることによる就労継続の困難な例など目にすることがある。
非正規労働者が多いことも女性の特徴で、時給の低いパートの仕事を掛け持ちをする女性も多く、身体的負担、精神的負担は大きい。
以上のような女性特有の状況に加え、性ホルモンの影響を考慮すると、治療、研究ともに明らかに男性とは異なるアプローチが必要となることがわかる。