うつの過剰診断

「早期発見・早期治療」の号令のもと、
本人と周囲の「気づき」や受診勧奨が増え、
職場でも、最近ではテレビでも製薬会社のCMが流れている。
「うつみたいだから休みたい」などと自ら精神科受診し診断書を持ってくる社員が増えてきているのは、産業医がみな感じていることと思います。
「気づき」と言えば聞こえはいいのですが、ちょっと多すぎる気がしてます。
職場で上司にこんな扱いされたら私だって「起床困難、抑うつ感、入眠障害、朝の疲労感、予期不安・・・」を呈するのでは、と思うことがよくある。
診断受けたことはありませんが、今までの私の人生で幾度となくこれくらいの症状はあったのでは、と思うこともあります。
人間の正常な反応を、「治療対象」にするべきか。
精神科医にお叱りを受けそうですが、
以前は、「簡単に?」休職の診断書を書いていた精神科の主治医も
「休職しないで負担を軽減してもらったら」
「もう少し頑張ったら」などとアドバイスすることも増えてきた。
過剰診断の意識が芽生えてきたのかもしれない。
DSMという米国精神医学会の作成した診断基準の最新版DSM−5では
さらに精神疾患の診断が増えそうで、警鐘を鳴らす専門家も多い。
DSM−Ⅳ作成委員長のフランセス博士は強く警告している。

〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告

〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告