主治医と産業医の診断書

先日、ある産業医に「矢島先生のブログは堅すぎる」と言われました。
一方、「矢島先生のブログを見るようにうちの社員に言ってます」とある産業医でお世話になっている社長様。
こんなこともあり、本来なら専門的内容と趣味的内容は分けてブログにするのがいいのでしょうけど、
そこまでブログに力を入れる暇もないのでしばらく混在状態を続けようかしら、と。
先週はいろんな研究会に参加し、自分が日常的に経験していること、問題に感じていることを整理する大変いい機会になりました。
そこで、今日は主治医と産業医の連携の話はよく言われるが、なぜ連携が必要なのか、考えてみます。
人事担当者、産業医なら一度は経験したことがあるのが、精神科や心療内科の主治医が「復職許可の診断書」の問題。
「メンタルの主治医や本人は復職できると判断している」または、
「本人の意欲に押されて復職可の診断書を出し」ているにも拘らず、
会社側から見れば、どうみても毎日出社できそうもないという事例。
これを判断するのが、まずは産業医
ただし、最終決定は会社がするものと厚生労働省ガイドラインでは決められてます。
しかし、会社にいる専門家としてきちんとした意見書を発行しなければなりません。
ちなみに産業医は会社と社員の間の中立な存在です。
会社で仕事、つまり、「労働契約」が「安全に」果たせる状態にあるのか、を判断するのが私たち産業医です。
そこでコンフリクトが生じる可能性。
社員本人は「主治医の診断書さえあれば復職」とか、
場合によっては「主治医の休職診断書の期限切れと同時に出社しなくてはならない」と思っているのです。
しかし、実際には「就業の可否」を産業医判断するという関門があるのです。
そこで、精神科の主治医には「こんなに日常生活できるのに復職を許さない産業医は酷い」
と当該社員と「悪口?!」まで聞こえてくることもあります。
しかし・・・会社は「リハビリ施設」や「学校」ではないのです。
段階的復職はもちろん私は制度として会社様に導入をするようアドバイスさせていただいております。
しかし、会社は毎日出社して、程度の差はあるにせよ労務提供する場なのです。
労務提供できないまま数カ月も給料を受け取りながら、リハビリする場として利用することは社員が権利として主張するべきではないと思います。
それは、他の社員とのバランスを常に保つ必要性があるから、と私は捉えてます。
また、産業医として復職判定の際に考えるのが、社員個人の職性はもちろん、会社の文化や職場の雰囲気などです。
これらの要素は「患者さんからの情報」でしか復職を判断できない主治医には知りえない事実です。
そのため産業医と主治医の復職判断が異なるのは仕方ない、と理解していただけたらと思います。