EAPの問題点:EAPは本来はメンタルサポートではない!

EAP事業は最近日本でもメジャーになってきている。
本来はその名のとおりEmployee Assistance Programであり
従業員の健康全体をサポートするはずだが、
日本語のウィキペディアには次のような説明がある。

EAP. 従業員支援プログラム(Employee Assistance Program) - メンタル面から社員を支援するプログラム。近年増えてきた職場の複雑な人間関係などによってかかるうつ病
などを回避させるために企業が外部団体と契約して社員の心の健康をサポートする ...」

このように、日本のEAPはメンタル対策の意味合いが強くなってしまっている。
先日もある会社で、新しくお目にかかった人事の方に
「先生にメンタル以外のことをやっていただくことは可能でしょうか」
と質問された。
そもそも、私は大学院で公衆衛生を専攻し、健康教育やヘルスプロモーションの研究、パリでは医療経済や国際協力の勉強をしてきたが、
この10年ほど産業医としての活動においてメンタル対応が必須となり、
ある意味キャリアチェンジというか、幅を広げるために大学に戻ってメンタル対応の勉強をし直したのである。
もちろんできます!!と答えたが、メンタルヘルスの色が強くなった自分が少し怖くなった。
話はずれたが、日本のEAPはメンタル対応機関となり、臨床心理士精神科医が中心的役割を担うEAPが多いが、グローバル化の中で、
国と国の垣根は下がり、日本版EAPに限らず海外のEAPのような広く社員の健康管理も視野にいれていく必要は大きい。
日本の会社といいつつ、今や海外で稼いでくる会社が増えている。
そのプレイヤーの中心は日本人社員であり、以前と異なるのは、海外畑の人のみならず、いわゆる海外に特に興味もない人がいきなり海外赴任になるケースが増えている点だ。
若者の海外志向、留学志向の低下とは逆に、企業はますます海外進出が増え、心身ともにリスクが高い海外赴任について
本来の意味のEAPの必要性を感じている。