介護と仕事の問題

働きながら介護をしている人は約290万人
うち働き盛りの40,50代の人は、170万人を占め、その4割が男性だという。
介護による離職者も12年までの5年平均で約10万人にのぼる。

この記事で気になったのは働きざかりの介護者の4割が男性というのは独身だが、
6割が女性?ということだろうか。働きながら介護する女性がそんなに多いのか。
私の患者さんを診ていると、通院に親を連れてくるのは娘が多い。
また、周囲の医師も、何かあったら娘を抑えるのが鉄則という。
つまり、娘は頼りになるのだ。
先日も、ある学生が、お母さんが何かあると私にすぐ電話してくる、と言っていた。
私の患者さんも40代子育て中の女性が老いた母親の電話相談に時間を割かれている、と困っていた。
統計的なことはまだ調べていないが、女性のほうがパートが多かったり、
夫に比べて働き方を調整しやすいゆえ介護に携わるということだろう。
もちろん働き盛りの男性の介護問題は大きいが、
よく考えると、独身女性が増えている今、彼女たちが働きながら介護するという問題はさらに大きいと思われる。
男性に比べ、平均所得が少なく、非正規雇用が大きいからだ。
このような女性が介護負担も背負うようになっては、それは大変なことになる。
実際に、私の経験した中では、兄弟のうち介護を女性が担うことが多く、
仕事を辞めた例も多い。
時期にもよるが、仕事を辞めて介護に入った場合の問題は、
社会との関わりが減少するという意味で、閉ざされた世界に入り、結婚に結びつく男性との出会いの機会の減少し、適切な時期にキャリアを積めないなどの様々な問題を生じる。
介護は保育と比較されることが多いが、介護の大変なところは周囲の理解と、いつまで続くのか分からず、当事者としては永遠に続くような気持ちになっていく点である。
そのストレスは経験のない私には表現する権利がないと思われるほど、壮絶なものがあるのだ。
せめて、介護をしている人に対して、最低限として社会として彼らが生活の不安を抱えずに済むような柔軟な働き方を促す仕組みを作ってほしいと思う。
一人ひとり、特に企業の人事の方には、他人ごとではないことを肝に銘じていただけたらと思う。