メンタルヘルス対策について

EAP(従業員支援プログラム)の会社を作ってから、様々な会社の人事の方と話をさせていただく機会が増えた。
本来、EAPは健康全般についての予防サービスを提供する総合的なものとしてアメリカで生まれたものである。
しかしながら、今のところ日本ではメンタル対策・サービスの提供が主流となっている。
では、どのようなサービスを企業は購入しているのだろうか。
東証一部上場企業におけるEAP活用状況を紹介する。
まず、電話による相談窓口が8割を超えている。
その次に対面カウンセリングが7割超となっている。
対面カウンセリングは事業場内に設けている企業もあるが、相談率が低いという悩みを抱える相談室も多い。
私も産業医として、相談にのる立場であるが、会社内で自分から悩みを打ち明ける気になる人はなかなかいない。
実際に通院している人を会社として社員の健康管理をしなくてはならないということで、
人事や上司が説得して産業医面談を受けさせているパターンがほとんどである。
では、研修事業についてはどれくらい活用されているのか。
いわゆる従業員一人一人のケアに焦点を当てたセルフケア研修より、
まずはラインケア、つまり管理職研修という会社が多く、56%となっている。
確かに、私自身の産業医の経験でも、メンタル対策に管理職の理解がないことが、人事、衛生管理者の悩みであることが多い。
私は、人事の方を見て感じるのは「人事のメンタル対応担当者」のストレス対策が必要ではないかということである。
大変な仕事である上に、他の部署に理解されにくい業務なのだ。
現場管理職に理解があれば、メンタル予備軍や不調者、復職者への対応に関して、会社として「恥ずかしくない」レベルの対応ができ、労災などのリスクヘッジにもなるだろう。
では、ストレス調査についてはどのような状況か。
現在、企業にストレスチェックが義務化されるか、という話をよく耳にするが、ストレス調査をしている会社は3割ほどでこれから対応に追われる企業も増えると思う。
以上、本日は企業におけるEAP利用の話をしたが、一部上場のデータであり、従業員の規模によってメンタル対策はマチマチなのが現状である。
中小企業にとっては、まずは労災リスク、労基署リスク対策、復職対応が最優先である会社が多く、大企業ではより充実したメンタルヘルス対策を実施し、社員の生産性を高めるという視点で積極的、前向きな意味での対策を行う企業も増えてきている。