心理士さんとの話:専門外知識について

先週末、自殺予防の件で、臨床心理士と話をしました。
そのとき、以前公衆衛生学会で紹介していたある自治体の取り組みの話をしました。
ハローワークに相談に来た方を対象に保健師と弁護士が支援しているという話なのですが、保健師や弁護士が互いにそれぞれ違う分野の知識をある程度持っていた方が、相談者をつなげやすいという話でした。
それはよく考えてみればわかるのですが、医療者同士でも専門家同士で患者さんをキャッチボールしかねないのですから、
保健師と弁護士で「その話は知らないから弁護士に聞いて」とか「専門外だから保健師に聞け」となりかねないのです。
弁護士と保健師が確保できればいいのですが、そうでない場合にそのようなことを言われたら、相談者はさらに絶望し、もう相談する意欲もなくなりますよね。
このような話をした翌日彼女は自殺予防の勉強会に行ってきて、「昨日と同じようなことを言ってました」とメールを下さいました。
というのは心理士さんの基本手法では傾聴、つまりひたすらクライアントの話を聞いてあげるというものがありますが、その時期が長すぎたりすると、中には不満に思う方がいるのです。
これは私の臨床で経験したことですが、カウンセリングの先生に患者さんを紹介した後に、話を聞いてもらってすっきりしたという人と、これでどうなるの?と私に不満をぶつけてくる人がいるのです。
特に、ハローワークのような場面では、借金に追われている、とか仕事がない、などと切迫した悩みを抱えている人が多いため、社会的資源の活用方法の基礎知識くらいはカウンセラーが持っていて、それなりの機関に紹介するとかしていかないと、単なる心理カウンセリングだけでは自殺予防の効果を期待できないのかと思います。
今日は少し重い話でしたが、自殺者が3万人を超える日本。
総務省のような景気対策で自殺減少を狙う以前にヒト対ヒトの関係で減少させたいものです。