復職は家族がカギ、そして独居リスク

最近、打ち合わせなどで忙しく、なかなかブログが書けなくて残念です。
産業医業務の方では、会社と家族が連携を組める関係、が如何に大切かを痛感する出来事が連発してます。
メンタル不調の従業員の場合、当該従業員を支持していくのは、主治医、産業医、上司、人事、そして家族であると、人事研修などで言われていると思います。
特に休職・復職においてはこの連携が大切です。
しかし、家族の協力と言う点で会社が壁にぶつかることがよくあります。
大きくわけて2パターンです。
まず、1つ目は上司が従業員の家族を知らない、家庭事情を把握していないという社内風土である場合。
昔ながらの日本の会社の方が上司が家族を知っていることが多く、事が起きた時に余分な労力を割かずに連携をとれることが多いものです。
しかし、個人主義の風土だったり、社員の入れ替わりの激しい会社では従業員の家族のことを知らない上司も多いものです。
このような場合、協力関係がうまく結べないこともあります。
たとえば、従業員が会社のことを家族に悪く言っている場合。
パワハラやセクハラのためメンタル不調をきたしている場合、
家族は会社に対して不信感の塊ですが、それが何倍にも膨らんでいることがあります。
その時点で、協力しましょう、と言ってもなかなか難しい話になります。
このような点からも、管理者は日頃から従業員の家族のことは気に止めておいた方がいいと思います。
2つ目のパターンは、会社が家族と協力しようとしても、未婚・単身赴任のため困難な場合。
最近はこのような方が多く、休職中の従業員を家族がバックアップするのが困難になりつつあります。
うつの方が休職して独りで療養しているのは本当に心配になります。
食生活も睡眠覚醒リズムも崩れると治るものも治りません。
そこで、主治医から規則正しい生活を送る許可が出たら、
私は従業員の負担の少ない範囲で生活リズム表を見せていただくことにしてます。
また、できるだけ気楽に会社に来れるように工夫して、家に閉じこもらないように支援します。
復職の軟着陸は産業医としてやりがいのある仕事だと痛感してます。
半年継続して元気に仕事をしている姿を見るのは嬉しいものです。
ところで、先日、30代から40代の男性の自殺率が離婚後には数倍に増えるという記事がありました。
実は「独居」であることは高齢者のみならず、働き盛りの男性の自殺リスクを高める、ということです。(もともと結婚していない男性のデータは存じませんが、一度結婚した男性の方が独居耐性がないことが想像できますが)
この独居リスクは、産業医経験の中で薄々感じていたことです。
今後はこのような方への身体的・精神的な健康管理も会社が考えていく必要があるでしょう。