地方の医療過疎

週末は、ホームパーティー

医学部を卒業して、行政で働く方が学年に1人、2人はいるものだが、
厚生労働省地方自治体で働く医系技官や以前クリニックで一緒に仕事をしていた臨床医と
数人で食事をした。

共通点は医師免許をもち、お酒好きであること。
医学部ではお酒飲めない率はかなり低い。
飲み始めると話好きが高じて午前2時過ぎまで。

そこで盛り上がったのが、医療過疎の問題。

私自身は東京出身のため過疎問題には直面したことがない。

しかし、高知県に勤める友人と岩手出身で岩手で研修医をしていた臨床医の友人が
医療過疎の現場の話をしてくれた。

医療過疎は地方が抱える問題だが、いわゆる人口10万対でみる医師の数、病床数は
いわゆる「西高東低」で四国は充実していると思っていた。
一方、東北地方は以前より医療過疎の問題をかかえている。

しかしながら、高知ですら、
高知市を一歩離れると医療過疎が進んでいるそうだ。
人口80万の高知県高知市は50万人。
人口が密集している高知市に医師は集中しており、
周辺の郡部の医療過疎が進んでいるとのことだった。
本当のへき地には、政策的に医師が配置される。
一方、そのどちらでもない地域が医療過疎に陥っているそうだ。

ふとフランスにいたときに聞いた話を思いだした。
コートジボアールに医療援助するという話。
コートジボアールに対する中核病院や研究についての援助もある一方、農村援助もある。
コートジボアール国内で医学教育を進めて医師を増やしても、
首都のアビジャンや海外の先進国で収入を得ようとしてしまうため、
フランスの医師が援助で農村部に行って働くのだ。
何か違和感があったのを覚えている。

私自身、以前国際援助の現場に携わっていたときに、
自分1人がここで医師として援助してもキリがないと感じていた。
そのため、医療制度の整備などに関わりたいと思っていた。

要は、医療過疎の問題は数の問題だけではないのだ。
医師の偏在の問題なのだ。

現在、私の周辺では開業話が盛り上がっているが、
その主題は東京都内でいい場所がないとのこと。
ビル診療のクリニックが増えており、
大抵の場所にすでにクリニックがあるので、
なかなか賃料対売上でいうと厳しいようだ。

このように、都内の開業は厳しいとぼやく医師と地方の医療過疎、
さらに、地方中心地と周辺の医師偏在。

医療過疎の問題はさまざまな次元で
医師の偏在という構造的な問題を抱えており
単なる医師数の問題でないことを実感した。