職場のメンタル問題 3 プレゼンティーイズムについて

「参加することに意義あり」という言葉があります。
その場にいるということだけで、優位に事が運ぶなど、利益をもたらすことがあることは想像にやさしいと思います。
一方、筆者もよく言われたことですが、「学校いってお客さんではだめよ」というのも一理あります。
今日の話題はプレゼンティーイズム。

ハーバードビジネスレビューのバックナンバーに面白い記事があったので紹介させていただきます。
まず、古典的には、疾病に伴うコスト(費用)は次の通り。
医療費、その他、治療に関わる費用
障害、死亡に伴う損失

つまり、欠勤や休職については語られることが多かったのです。
しかし、出社はしているけれど仕事の量、質の低下、能率の低下、つまり生産性の低下についても、実は「隠れたコスト」がかかっている、という話があるのです。
それが「プレゼンティーイズム」です。
実はこの隠れたコストが、一般的な医療関連コストよりも高い可能性があるとのことです。
しかし、生産性の低下のコストは定量化が難しいのです。
もっとも、今までに様々な研究の結果、評価方法が開発されてきました。
ここでは、ハーバードビジネスレビューに掲載の「疾患別プレゼンティーイズム」について紹介します。
これはロッキード・マーチンが28種類の疾患が社員の生産性に及ぼす影響についての評価を委託したもので、ボストンのタフツ・ニューイングランド・メディカルセンターのデブラ・ラーナー、ウィリアムH.ロジャース、ホン・チャンによる研究結果です。
平均年間損失額の多いものを挙げます。

アレルギーあるいは鼻腔の問題   180万9945ドル
関節炎 86万5530ドル
慢性的腰痛(脚の痛みのないもの) 85万8825ドル
うつ病 78万6000ドル

などです。

このコストを実際の医療コストと比較すると、医療コストはピラミッドの上部24%に過ぎないとのことです。プレゼンティーイズムのコストは63%(出所 バンク・ワン)とのことで、「隠れたコスト」として重視されるのでしょう。
この記事によると、プレゼンティーイズム対策として、健康教育を挙げています。つまり、会社が病気との付き合い方、対処法などについての講演会などの実施するというものです。

疾病の問題は、とかく個人の問題ととらえがちであるものの、昨今のメンタルの問題を機に、生産性の低下という損失として意識している企業が、日本でも増えてきています。
先日、うつ病の健診が定期健診の項目に加わるとの発表がありましたが、予防は大切だと現場でも実感する今日この頃です。