健康豆知識 ④ 子宮頚癌ワクチン日本上陸!

今年の2月より子宮頚がんワクチンが日本で解禁になりました。
今のところ集団接種ではないので、各自、希望する者が病院で有料で接種することになります。
私の所属する、東京女子医科大学附属女性生涯健康センターでもすでに接種が始まっています。価格は21000円ですが、3回接種しないといけないので合計63000円。
自費になってしまうのでとても高いのですが、自治体によっては補助をしてくれるところもあるので、ぜひ確認するといいでしょう。

今日は、子宮がん、それに対するワクチンとは何か、を解説します。

昭和30年と比較すると子宮がんによる死者は約1/5に減少しています。しかし、まだ子宮頚がんにかかる者は年間7500人、死者は2500人。
「子宮がん」と一言でいっても、できる場所により、子宮頚がん、子宮体がんと2種類あります。
子宮頚がんは、子宮の入口にでき、がん検診によって早期発見できます。そのため、最近では治るケースも増えています。
しかし、子宮頚がんの発症年齢が若年化しており問題となっています。発症年齢のピークは30歳代です。また、20歳代の発症も増えてきています。

では、なぜこのように子宮頚がんの発症年齢が若年化したのでしょうか。
そもそも「がん」と言っても様々な種類があります。子宮頚がんと体がんは、出来る部位が子宮というだけで、癌化する細胞の種類がそもそも違うのです。
子宮頚がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。
感染したからといって全員が子宮頚がんになるわけではありません。また、感染後すぐにがんになるわけではありません。そのため、子宮頚がんとこのウイルスの関係は昔からわかっていたわけではなく、その関係がわかったのは1983年のことでした。ちなみに、子宮体がんはこのウイルス感染とは関係ありません。
HPVウイルスは、性交渉によって感染します。感染しても大抵はウイルスが自然消失します。しかし、一部の女性では長期的にウイルスが体内に残ります。そして、子宮頚部の細胞の異形成(前がん状態)を生じ、また、その一部ががん化するのです。
このように、子宮頚がんはウイルス感染によるものですから、ウイルス感染する前のワクチン接種が効果的、つまり初体験前に接種するのが望ましいのです。
よって、10代前半に予防接種を勧めなくてはなりません。
しかし問題は、中学生が自分で受けにくるわけはないので、親の健康への意識向上をすすめなくてはならないのです。
アメリカやオーストラリア、その他多くの国では無料で予防接種を受ける制度が整っています。日本では現在は自治体によりますが、今後は国が無料接種制度を構築してくれたら、と思います。

最後に一つ大切なことを追加しますが、ワクチン接種してもHPVにはウイルスの型がいくつかあります。つまり、ワクチンに含まれていない型のHPV感染は予防できないので、頚がんワクチンを接種したからといって絶対に子宮頚がんにならないわけではないのです。頚がんワクチンを接種しても、頚がん検診は必ずうけておくべきです。
といっても、かなり高率に子宮頚がんを予防するという試験結果がでていますから、子宮頚がんワクチン接種は強くおすすめします。