公衆衛生授業 第1回 WHO健康都市プロジェクト in ラオス

今日は短大で初授業。
公衆衛生担当です。
WHO(世界保健機構)や発展途上国の話をしてきました。

以前、私自身、WHOのコンサルタントとして10年ほど前にラオスに行かせていただきました。授業ではその頃の話や経済発展と疾病構造の変化などしてきました。
ラオスメコン川を隔ててタイの北東部に面する国で、面積は日本の本州くらい。人口は600万人です。GDPが142位であり、貧困国です。
しかし、私の印象ではアフリカの貧困国に比べてラオスはのんびりしたムード。「昔の日本の田舎のおばあちゃんのうち」に行った懐かしさがありました。
そもそもラオスは仏教国でインドネシア、マレーシア、フィリピンとは違うのです。また、人々のメンタリティーが昔の日本と似ていて、女性が慎ましく、照れ笑いをします。ただ目が合っただけで照れる、という感じがいかに私たち日本人に特有なものかは、国際学会などで様々な国の人たちと会うたびに感じます。例えば、私が、パリに住んでいた時も照れ笑いの感覚が理解されないので、日常的に喜怒哀楽をはっきりと表現する努力をしていた気がします。ラオスには世界を代表する遺跡などない国ですが、このような理由で日本人は1度行くと好きになる人が多いとのことです

食べ物はタイに比べると辛くなく、日常はベトナムフォーを朝から晩までいただいてました。ご飯は籠に入っているもち米を手にとって丸めて食べます。おかずはときどき魚をいただきました。肉は鶏肉が多かった記憶があります。

現在のラオスは10年前とはかなり違うと思いますが、当時は信号がほとんどない状態でした。そのため、交通事故を目の前で2度ほど見ました。バイク同士やバイクと車の出会い頭の衝突など。信号がある日本でもよくあるタイプの事故ですから、信号がなければ当たり前でしょう。
開発途上国の典型で、感染症による死亡率が高いのは去ることながら、交通事故の死者も主要な死亡原因となっています。ちなみに、ベトナムではバイク事故を「ホンダディジーズ(本田病)」と呼ぶそうです。

このことからわかるように、このような国で死亡率を減らすためには、交通事故による死亡を減らすのが効果的であり、信号を整備、道路整備などが必要になるのです。医師や保健省だけが頑張っても、限界があるのです。
関係する複数のセクターが協力していかなければ、健康は手に入りません。

以上のような話を授業でしました。
1986年のオタワ憲章ではヘルスプロモーションという概念が提唱されましたが、まさに、健康に関わる様々なセクターが協力していかなければ国民の健康状態を向上することはできないのです

では、今日はこの辺で。
大好きなラオス話はつづく...。