ベビーシッター代はなぜ経費にならないのか:日本は遅れている


今朝の日経新聞
税金の話ですが、そこでベビーシッター控除について書かれていたのでご紹介。
私はもう15年ほど前になりますがフランスに住んでました。
当時お世話になった教授、助教授のご家族は当然のように夫婦で仕事をしていらっしゃるにもかかわらず3人の子供がいて驚きました。
事情を聴くとそこにはベビーシッターの所得控除がありました。
さらに、フランスには元植民地のアフリカ系の移民を比較的安く雇用できるという事情もありました。
子供のベビーシッターというと贅沢消費のように思う中年以上の男性は多いのですが、実際には子供が就学するまでは、誰かが常に子供に張り付かなくてはなりません。
働く女性にとってみると実に必要経費です。
子育て女性の収支はこんな感じです。
 (自分の収入+α)*(1−税率/100)−(ベビーシッター代+α')=手元に残る所得
  
自分の時間を使って収入を得る勤労者の場合(資産からの利益がある人以外のすべての人)、
収入を+αにしようとするとベビーシッター代は +α'となり、
手取りはα−α'増える気がしますが、上式のとおり、そうではないのです。
残業代を例に考えると理解しやすいのですが、ベビーシッター代1時間2000円、夜間はもっと高いでしょう。
自分の残業代がこれより低ければもちろん損失となりますが、
税率25%の女性が残業代2000円だったら手取り1500円から2000円の支払いを余儀なくされるため、このように損失となります。
もし、シッター代が所得控除になれば、自分の稼いだ2000円でシッター代を払えば損することはなくなります。
私自身、子供が幼稚園までは、シッター代がかさみ、まるでお風呂の栓を開けたまま蛇口から水を目いっぱい出してお風呂に水を溜めようとしているような気分になったものです。
特にシングルマザーでしたので、自分の収入がシッター代に比べて同等では生活費が捻出できないため、
税引き後の支払いか、所得控除を受けられるかは大きな問題でした。

さらに、私はベビーシッター控除の利点は他にあると考えてます。
産業医として10社以上の企業を担当させていただいておりますが、大企業では最近では育児のための補助も手厚くなりつつあります。ベビーシッター代を福利厚生として会社が一部負担する企業も増えてきました。
企業が福利厚生としてシッター代の援助をする場合には経費算入できるからです。
しかしながら、労働者のほとんどが属するのは中小企業であるという現実、さらに女性は派遣社員が多い現実を考慮するとおそらく勤労者の99%がそのようなサービスを受けられないままです。
このような環境下では、実はベビーシッター控除を実現することは、会社の規模の格差を考慮した場合、より公平性が高いことではないかと思います。