無いものでなく、「あるもの」に着目

以前、JwaveのMakeit21というショーンKさんの番組に出させていただいたことがあります。
最初に出たときは、本当に緊張しました。
生放送でシナリオなどほとんどないのです。
何を聞かれるか、全くわからないまま、土曜日夜10時六本木ヒルズに行きました。

初めて招待して下さったときはクリスマス直前の特番でした。
会社員の相談になんでも応えるという内容で、電話相談やショーンさんからの質問に応えました。
これで終わったと思ったときに、突然、「矢島さん、クリスマス前に一言」と振られたのです。
飲み会で振られても、あがり症の私は途方に暮れてしまうのに、
ラジオのナマでいきなりで、頭は真っ白でした。

しかし、先日ある人にあの放送聞いていて素敵なこと言ってましたね、と言われびっくり。
テレビに出ると各方面から連絡が来るのですが、ラジオは反応がない媒体です。
感想をいただくことはごく稀です。それも随分前の話なので。
「あるものを書き出す」って素敵ですね、といわれたのです。
急にあのときの緊張感とともに思い出したスタジオの雰囲気。
あの中で、クリスマスっぽく言った言葉が
「人間はないものばかり着目して、あるものにフォーカスしない。今自分の周囲にあるものを書き出して見てください」という内容のことを口走っていたようです。

今日、ある会社のレクチャーイベントの準備をしていて、「サバイバルベネフィット」の話を入れました。
私たちが意識的に考えることには、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブなものがあります。
目に入ったものに自然に価値判断を加えます。
しかし、問題はその比率。
人間は、「よりネガティブなもの」に、注意が向くようにできているのです。
それは当然のことなのです。
私たちの祖先は、大自然の中で身を守りながら生活をしていたわけです。
そこで、食糧不足のリスクと戦うために「適応的態度」をとり、ネガティブなものに気が付くように遺伝子に組み込まれている、と言われてます。
このようなネガティブな面に注意が行くのはサバイバルベネフィット、の意味では
決して悪いことではないのです。
しかし、現在私たちは日常的にはそのような環境で生活しているわけではありません。
ネガティブな捉え方はむしろストレスの素になり、ベネフィットはないことが多いのです。
むしろ「自分が持っているもの」に注目したほうが幸福感は増すのです。

私が言ったあの言葉はまさにこれだったんだ、と再確認しました。
当時の私は、ただ臨床的に様々な患者さんのお話を聞きながら思ったことを言っただけだったのですが・・・。