「白夜」 渡辺淳一:医師のキャリア

渡辺淳一さんが亡くなられました。
失楽園」など究極の恋愛小説が近年知られてますが、私は医師や医学生を描いた小説が好きでした。
高校生時代に、医学部2年生だった塾の先輩から勧められ「白夜」を読みました。
高校1年生の春休みに医師になりたいと思い始め、親戚や家族に医者がいなかった私は医学生、医師になることがどのようなものか全くわからず不安と期待の中にいました。
そんなとき医学生の生活について書かれた「白夜」は大変参考になりました。
内部進学で楽する予定だった私が急に受験を決めて、勉強を始めたのが高校2年生の春。
受験生に追いつく勉強は最初はかなりハードでした。
ノートがすぐになくなるので買いに行くのが面倒で、大学ノート100冊を注文したら大きな段ボールが届き母が驚いたこともありました。
そんな受験勉強の合間に自習室で読んだのが「白夜」でした。
当時はバブル時代、一般的に大学生がフランス料理にソアラなど高級車を乗り回し、彼女のためにティファニーに並ぶ、という感じ。
派手に遊び歩く大学生を横目に、白夜を読みながら理想の医学生・医師像を膨らませ、一生懸命勉強する。
なんて真面目な高校生だったことか。
もう今となってはあまり実感はありませんが医師は「特殊なキャリア」で高校生である私は知る由もありません。
何十年も前のことで内容はよく覚えていませんが、高校時代は進学の選択を悩み、大学時代も専門科の選択に迷う日々でした。
今実際に医師になって感じるのは、医学部を卒業すれば臨床医はもちろん研究者にもなれるし、行政の仕事にも就けるし、専門性を活かして民間企業で働くことが可能です。
また、独立し会社を作ったときも、「人が会ってくれる」のがメリットだとある方が言っていました。
私自身、最初から産業医の道を考えていたわけではありません。
子育てとのバランスや「御縁」から今の仕事の形ができました。
医学部の大学5,6年生でキャリアに悩む学生たちの話を耳にすることがありますが、医師の仕事は大変幅広く、多様な可能性があることを覚えておくと気が楽になるかもしれません。