ワーク・ライフインターンについて

朝日新聞デジタルに面白い記事があったので以下にコピーしました。
10,20年前の私が学生だったころに比べて、共働き世帯は多くなったのは
産業医としても実感してます。
現在、男性の給与のみでは、妻と子供1人までしか養えない、
と言われてますが、
女性が働くことは経済的にも家庭内で重要視されつつあります。
学生時代に「キャリアか家庭か」と医学部にいながらも随分悩みましたが、
この記事にあるようなワークライフインターンは育児の経験という意味で有用でしょう。
実際、ヨーロッパでは外国人学生がベビーシッターとして住み込みで働くことが頻繁にあります。
他人を宿泊させやすい家の作りであることもあり、また働く女性が多いからでしょう。
これは受け入れる家庭としても安価で便利ですし、一方働く側にしても子育てのよい経験になるため興味深く思いました。
フルタイムの仕事と子育てはまさに「百聞は一見に如かず」の世界です。
どんな理想のキャリアを目指しても、子育ての環境(夫、親、職場それぞれの理解やサポート)が整わなくては難しいものです。
安藤美姫さんが、昨日から全日本フィギュアで活躍していらっしゃいますが、本当に素晴らしいと思います。
出産後8カ月で、あのレベルまで戻すのは大変な努力をしたことでしょう。
しかし、職場が、女性全員にこのような頑張りをしなければ、受け入れられないとはいうべきではないと思います。
特に医学部ではそのような風潮が強いと思います。
それぞれの女性が持つ、家族の支援環境、経済環境は異なりますから。
特に経済環境と書いたのは、たとえば女性が仕事で当直や出張した場合に、子供をベビーシッターに預けたらいくらかかるでしょうか。
ある夫婦で出張の多い社員は、シッタ―代に月50万円かかるとこぼしてました。
それで家計が成り立つのでしょうか。
どうみても万人向けの解決ではありません。
働き方の選択肢を提示できる職場が最もいい職場だと感じてます。
このように働く女性としては、子育ての支援環境も含めて、出産や自分のキャリアを考えることが、就職活動の時点ですでに大切な要素だと、
会社の産業医としては感じてます。
子育てしやすい会社というテーマは、最近よく耳にしますが、
20社近くの会社の産業医をしてきた私からみると、
会社の制度や文化、職場の理解は実に様々です。
入社前に、出産後の出口、「転職」か「子育てと両立」か、など
考えていかないと、子育て退職して、数年後に就職が見つからないという結末になりかねません。
さらに、子供が小学校就学時から、就労希望をもつ女性が増えます。
しかし、まだフルタイム就労の壁はあるように見えます。
ここまで考えると厳しいものがあるかもしれませんが、
中途採用が少ない日本では、初職の時点でそれくらい考えておいた方が後悔がないでしょう。

朝日新聞デジタル>記事
(就活する君へ)共働き・子育て、接して将来をイメージ
2013年12月19日19時46分
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インタビューで話す堀江敦子さん=豊岡亮撮影



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 ■堀江敦子さん(共働き家庭インターン会社社長)

朝デジ就活ニュース
就活する君へ
 【伊沢友之、豊岡亮】仕事と子育ては両立できるのか? 就活中の学生らが抱く疑問の一つだ。共働き家庭で育児体験できるインターンシップを、学生向けにおこなう堀江敦子さん(28)に聞いた。

     ◇

 ――主に女子学生が参加している「ワーク・ライフインターン」とは、どのようなものですか?

 「学生は2人1組で平日夕方に、共働き家庭に出向き、3歳から小学校3年生の子どもの宿題をみたり、夕飯を食べさせたり。4カ月にわたって、子育て体験をしてもらう」

 「子育ての苦労がわかることで、将来、子育てしながら働くとはどういうことかを想像してもらえる。そうすると、仕事に向き合う姿勢や覚悟が定まってくる。就活で職業や企業を選ぶ際にも参考になる」

 ――インターンに参加するのはどんな学生ですか。

 「これまで200人以上が参加した。ほとんどが女性。働きたい、子育てもしたい。でも、不安という『モヤモヤ女子』が多い。バリバリ働く『バリキャリ』でもなく、私生活を優先する『ゆるキャリ』でもない。漠然とした不安があり、将来に自信がもてない。仕事と子育ての両立を、働く前からあきらめかけている」

 「学生にも専業主婦志向が強まっていると、言われている。しかし、それは違う。『両立は無理だ』と後ろ向きになっているに過ぎない。子育て中の共働き夫婦を近くでみて、家庭を築くことのイメージをつかめば、不安は払拭(ふっしょく)できる」

 ――実際の共働き家庭の現状とは?

 「メディアで紹介される、何でも完璧にこなすワーキングマザーはほとんどいない。家の中があまり整理されていなかったり、髪を振り乱しながら帰ってきたり。子育てはハプニングだらけ。思った通りにならない。けれども何とかなる。子どもも楽しそうで、働く両親を自慢に思っている。子どもを他人に預けることに、引け目を感じていない」

 ――インターン後の学生はどう変わりますか。

 「大企業ばかりを受けては落ち、つらそうにしていた女子学生は、女性の働く環境を変えていく仕事がしたいと思い直した。子どもは無理と思い込んでいた『バリキャリ』志向の女性が、肩の力が抜け、両立したいと言ってくれたこともある。もちろん、育児の難しさを知り、欲しい子どもの数は2人までと体験前より減った人もいる。しかし、地に足のついた目標に、自分の判断で変えたのなら、前向きなことだ」

 ――女子学生が就活前に留意すべき点は何ですか。

 「女性の活躍が求められているが、働く女性の2人に1人は、第1子の出産を機に仕事を辞めているのも事実。日本では、仕事と子育ての両立がまだまだ当たり前にはなっていない。いったん仕事を辞めると復帰が難しい。勤め人の平均年収は400万円台。母親世代のように、専業主婦でいられる人は少ない」

 「福利厚生がよく、残業が少ないからといって、大企業の『一般職』を安易に選ぶことは避けた方がいい。スキルが身につかず、出産後に仕事が続けられない状況に陥ることもある。子育てするしないに関係なく、働き続ける覚悟を持って欲しい」

     ◇

 ほりえ・あつこ 東京都出身。日本女子大学卒業後、大手IT企業に入社。2010年に退職し、学生を家庭にインターンシップ(就業体験)させる「スリール」をたち上げ、社長に。学生に仕事と生活の調和の大切さも知ってもらいたいという。