人事のよくあるセリフ:「この病気は仕事が要因ではないので会社としては・・・」 

「この病気は仕事が要因ではないので会社としては関係ありません」
これはよく聞かれるセリフである。
例えば、従業員がうつ病やストレス性疾患に罹ったときに、
仕事要因か否か、というのは確かに労災や会社側のリスクマネージメントとしては大切な要素である。
しかし、従業員はそれ以前に会社の財産である。
先日見つけたのだが
「MBA 人材・組織マネジメント 梅津祐良著(生産性出版)」に、
「HR:human resource 人材」から「human capital(資産)」へとあった。
ここでは、人材は「長い間に使い尽くされる資源、または価値を減少させる資源」であり、これに対して、
capital は
「適切な投資を行うことによりその価値を増大させ、かつアウトプットとしてのリターンを次第に増大させる資産」
という意味が含まれる、とあった。
以前、MBAの出身者が、「人材は机と一緒だよ、お金を産む道具だ」と言っていたが、それにかなり違和感を覚えていたのだが、
最近はやはりその辺の認識も変わってきているようで、
産業医としては安心した。
従業員は「財産」という視点でいけば、自然と仕事内外の要因に関わらず
要因について関心をもつことができるのではないか。
仕事外の要因としては、適切な気晴らし、余暇の過ごし方、ワークライフバランスなどが挙げられよう。
昔ながらの中小企業や古くからの上場企業は、このあたりは関心をもち、対策を考える企業が多い。
しかし、新しい企業ではこの辺には触れる必要性を感じない企業も増えている。
もう一度、従業員の業績だけでなく、人としての価値に関心をもち、会社の資産になるように支援や対策をするべきではないだろうか。