普段と違うものを手にしてみました〜日経産業新聞

私は車の運転が苦手なので電車かタクシーで移動しています。
でもタクシーも運転手さんと二人で長い時間を共有するのが息苦しくて
やっぱり電車に・・。
電車が好きなのは、つり革広告を眺めたり売店の新聞見出しをみることができるから。
先週は、売店で新聞を買おうとしたら、
日経産業新聞に「角膜内皮の再生」という記事が一面にあり、
なつかしくて思わず購入。
ところで、角膜内皮細胞とは聞きなれないものだと思うので簡単に説明します。
内皮細胞は角膜の内側、つまり裏側にある細胞です。
内皮細胞は増殖しないため、減ったらそのまま。
加齢とともに徐々に減少しますが、コンタクトレンズの不適切な使用や眼内手術により特に減少します。
内皮細胞がどうして重要なのでしょうか。
それは内皮細胞は角膜の内部の水分調節するポンプの役割をしてます。
これが減少すると角膜内部に水分が増えるため水ぶくれして角膜が白く濁ってしまい視力障害が生じてしまう。そのため大切な細胞なのです。
様々な疾患で角膜移植が適応になりますが、「水泡性角膜症」という角膜の内皮障害によるものがあります。

私は医師として最初に眼科で修行をしましたが、その病院では角膜移植を積極的に実施していました。
ドナーの方が亡くなられると眼球を頂きに行ったものです。その角膜は冷凍保存して角膜の疾患、外傷などで移植が必要な方へ使用されました。
水泡性角膜症の患者さんもずいぶん診させていただきました。円錐角膜、外傷などなど、その他の疾患でも移植待ちの方がたくさんおられました。
この記事によると現在も常時約2500人の方が水泡性角膜症で移植待機中だそうです。
再生医療により角膜内皮を培養できれば1人のドナーから取り出した内皮細胞で最大200人分の内皮細胞が培養できるそうです。
また、角膜を全部取り替える手術に比べ患者さんの治療負担を軽くしますし、夢のような話です。
私は初めて見た日経産業新聞で、再生医療による医療の発展を大変身近に感じることができました。
さらに別の記事まで目を通してみたら普段と違う風景を見て、得した気分です。