昨日JWAVE行ってきました。

昨日JWAVEの MAKEIT21に行かせていただきました。
番組の打ち合わせの際に、ショーンさんの経験した会社のコンサルティングの話をお聞きしました。
大変興味深いのは、企業合併のときに財務やM&Aに関わる問題というのが解決しても残るは人間関係だという話。
確かに、私の患者さんにも、合併後の適応障害の方が数人いらっしゃいます。
合併するまでの不安、実際にポジションが無くなることもあって退職になる、さらに合併してからは文化やスピード感の違う会社の社員が一緒に仕事をする困難さなどから、メンタル不調を来す方が多いのです。
ショーンさんは私と同じパリ第一大学にいたそうで、そんな会話をしながら打ち合わせは過ぎていき…
そして、本番。
番組冒頭では、産業医の方からの相談がありました。不調の社員を抱えるつらさがよくわかるメールでした。
産業医という職業は孤独。
まず、自己評価の低い医師が多いのです。
臨床の医局を離れ、産業現場では会社によって差はありますが、
治療行為は限定的で、医師として仕事をしている実感が少ないものです。
実際に、社員の治療状況を聞き、口出ししたくなってしまう自分を抑えなければならないのが少しつらい部分があります。
産業医は主治医の治療行為にはよほどでない限り、口出しはしないほうがいいというのが私の意見ですが、他の産業医も似たようなものではないでしょうか。
次に、内科系の医師が最近メンタルが多いからと依頼されてメンタル対応している例が多い。
メンタル対応は、bio-psycho-social modelと呼ばれる総合的視点が必要です。
従業員を取り巻く様々な状況を理解し対応していかなくてはなりません。
その感覚はむしろ地域医療の先生は得意だと思います。
また、医師は一般企業に勤めたことがないため、労務について知識がないことが多いのです。
実際、私は保健所で労働者の権利について初めて知りました。
その後、司法試験の3法(憲法民法・刑法)について勉強した上で、労働基準法労働安全衛生法などの知識をつけました。判例百選なども読んだりしてました。
そのため、他の産業医の先生に比べ、人事の方との共通のロジックがわかるのかもしれません。
しかし、臨床からいきなり産業医になると、医学的にベストな選択だけを考えていればいいわけではないため、産業現場で戸惑うことが多いと思います。
産業医だからと言って私のように法律を勉強する必要はありませんが、リーガルシンキングを多少身につけたほうが、人事の方の主張やニーズも理解できると思います。
最後に、以上のような相談を聞きながら、私が作ったメンタル対策のコンサルティングを含むEAP会社を作ってよかったと実感しました。
今、考えているのはスタッフの勉強会には投資を惜しまない会社にしたいということです。
知識や向上心のないまま仕事をしているほど、クライアントに失礼になることはありませんし、さらに本人にとってもプロとして仕事能力のスキルアップができたほうが仕事が楽しくなると思います。
昨日のメールを見て実感したのは、産業医を始め、産業分野に興味のある精神科医保健師臨床心理士精神保健福祉士などの方々と適宜オープンな勉強の場を提供していく必要があるということです。
来年の目標にします。
あと、昨日気付いたこと。
自分は会社の中で元気がない人しか見ていないということ。
会社を引っ張る人々を多く御存知のショーンさんと話をして実感しました。
とかく医療者は弱者寄りになります。これは大切な感覚ではありますが、
会社のようにエネルギッシュな労働力を求める場では一部の方にしか当てはならないのです。
今後は会社をコンサルティング、研修するにあたり、もっと全体をみて、プログラムを組んでいかないといけないと反省してます。
そして、今回、「産業医」という、世間ではかなりマイナーな専門家を
ショーンさんのような有名なコンサルティングの方が注目して下さり、
また、これからの企業にとって重要な存在だというお言葉をいただき、
やる気がますます湧いてきました。