社員への対応は会社によってこんなに違うなんて…

私は医師です。
世間でいうような就職活動はしたことはありません。
どこの医局に入ろうか?などと、大学6年生のときに考える程度。
何科に進もうか?と真剣に悩みました。
現在、様々な会社で人事の方とお付き合いさせていただき社会勉強をしています。
私の父は会社を持っていましたし、母は専業主婦だったため、サラリーマン社会は大変新鮮に映ります。
以前、保健所に勤めたときも、
地方公務員という毎日同じことを何十年も続けるという特性を持つ仕事の存在を知り、感激しました。
20代で精神疾患を患った方が、社内の軽い仕事をするだけで
40年近く一日のほとんどを更衣室で過ごしていると耳にしたときも驚きました。
もちろん障害者の雇用の継続は労務として正しい対応でありますが、
現実は、どの会社でもできる対応かというとそうではありません。
まして、医師である私は病気になって仕事ができなければ即生活に影響します。
当時先輩の女医さんが、保健所に入って社会勉強になったと思ったのは、
住民の健康問題より、仕事をしている公務員を見たときだと言っていましたが、
その名言が私の心に残っています。
厚生労働省の医系技官の友人も何人かいますが、役人の世界もまた特殊な世界です。
知人が外資の銀行の法務部に勤めていた時の話を聞きましたが、ある日突然首切りにになるそうです。
つまり、日本の大企業・中小企業のサラリーマン社会であれ、外資系企業であれ、公務員の社会であれ、
それぞれが「これが当たり前」という価値観の中でそれを疑わずに仕事をしているのです。
しかし、雇用される身としては、会社の慣習を受け入れるしかないし、人事もそれぞれ、これが当たり前と思っています。
現在、産業医として人事労務に関わりますが、休職者・能力スキルが不足する者への対応は千差万別です。
休職の期間が長く、業務遂行能力の低下し、解雇になるのでは(形式的には自主退職かもれませんが)、と思いきや、
何年も回復を待ってくれたり、復職リハビリ部署のようなものをもうけて模範的な対応をする会社もあれば、
多少でも他の人より業績が劣ると、すぐに解雇の準備を始める会社もあり、対応は多種多様です。
ここでは、その是非を問うのではなく、これほど「常識」がない世界も珍しいと単純に驚いているのです。
ところで医療の世界も特殊です。
形式的には私たち医師は労働者ではない、という扱いのまま、実際は、労務管理なく長時間の肉体労働をしてきました。
過重労働について指摘する医師は医師としてのモラルを疑われていました。
しかし、最近は医師の過労死も取り上げられるようになりました。
医師も生身の人間だということが認められつつあるような気がします。