ひきこもり70万人 読売新聞

新聞に上記のタイトル。
そして上記のタイトルに続く「予備軍155万人」という見出し。
これらは内閣府の推計です。
狭義のひきこもりが厚労省の公表したひきこもりに相当していて推計26万人。
今回の調査は「趣味に関する用事のときだけ外出」が推計46万人。
これらの合計が70万人とのことです。
私自身、狭義のひきこもりの人が身近にいないのであまり実感できないのですが、
「ひきこもり親和群」という将来ひきこもりになる可能性のある者が多数いるということは
日々感じています。
私は産業医として職場の不適応やうつの方と日々接しておりますが
20代から30代前半の出社困難の方にひきこもりと通じるものを漠然と感じることがあります。
「会社での人間関係がうまく行かなかった」
「客観的に見れば大したことではないのにちょっとしたストレスをきっかけに出社できなくなった」
など。
おそらく就職前にちょっと頑張ったことでひきこもりにならずに何とか就職はしたものの社会は学校とは異なります。
学校では何とかなっていても社会ではその人の理屈では正しくても正論を通せない場面があったり、
また他人とコミュニケーションをとりながら仕事をすることが必要になりますが、
その能力や耐性に欠けているという印象を受けます。
それがいわゆる従来のうつとは異なる、未熟型のうつの増加につながっています。
そのような者が155万人というのは、臨床現場の私には理解できる数字ですが、
社会全体から見たら恐ろしいものです。
15歳から39歳の人口は3880万人であり、ひきこもり群は1.8%、親和群が4.0%とのことです。
これからの日本はどうなってしまうのでしょう??
1人ならまだしも会社としてはそのような不調者が増えてくると、仕事を任せられなくなりますが
休職中に人員補充をしない場合はほかの者の負担が増えます。そのため、またメンタル不調者が出てくるという悪循環になるのです。
部署の管理職の者の負担が大きくなっていくので、その方々の健康状態に気をつけてます。
ところで、職場での不適応と言っても「その職場が合わないパターン」と「社会不適応」に分けて考えるといいと思います。
前者は部署異動や転職により症状が軽快することが多いものです。
後者は、ひきこもり予備軍であり、その治療は長くなることが多いものです。そもそものお学校教育や家庭での養育環境が鍵になるのではないでしょうか。
理想ややりがいももちろん大切ですが、そもそも人間が食べていくために仕事をするのが当たり前だと思いますし、そのために仕事をしているうちにやりがいや理想を追求する機会が訪れることもあります。
あれこれ考えずに、まずは社会人として仕事することを目的にしてもいいのではないでしょうか。
最近、何社かで人事の方が共通して相談にくることがあります。
新入社員に「どうしたら朝起きれるか教えてくれませんか」。
そこまで来てしまったという感じです。