産業医として最近感じたこと

この2,3年で産業医として活動させていただく会社が増えましたが、最近、いろいろなことを考えます。
メンタルの休職の案件が多いのは周知のとおりではありますが、会社によって、その捉え方に温度差がありその差が激しいことを痛感してます。
簡単にいえば、「仕事できない者はクビだ」ということを遠回りにいう会社があれば、何年もの間休職ができ、さらに上司がバックアップしてくれ、主治医受診に上司がついていく会社...など様々です。
診療所では患者さんとその家族しかお会いしないことがほとんどですが、産業医としては該当する従業員の上司や人事の方、そして主治医と連携をとりながら仕事をしています。
患者さんの周辺が見えるわけです。
それが新鮮でとても楽しい。
医師というのは病院でしか仕事したことがありません。
白衣を着て患者さんに向き合うのが仕事です。
また、学生時代から医師になる人ばかりと付き合うことになるのです。
それが息苦しくて、社会医学に興味をもち、公衆衛生という立場で、海外で仕事をしたり、行政におりました。
この数年、産業医として仕事をしていますが、社会人として再デビューした気持ちになります。
病気に向き合うのではなく、患者さんの背景を調整していくのは、診察室の患者さんの背景の世界に一歩入った気分です。
幸い様々な業種で仕事をさせていただいているので、会社や業種のカラーなどもいろいろ。それぞれの業種、会社で社会勉強しながら有意義な仕事をさせていただいています。
それぞれの会社の各立場の方と社員の休職というひとつのテーマに取り組むことがこんなにやりがいがある仕事とは予想してませんでした。
病気の社員、人事部の課長のAさん、当社員の上司のBさん、それぞれの立場を考えていくのですが、交通整理すれば必ずしも衝突する議論ばかりではないのです。そのお手伝いをしているのです。
これからも、それぞれの会社の一員として頑張っていきたいと、気持ちを入れ変えた今日この頃です。