IT企業の社員の健康管理:睡眠障害

御存じのようにIT企業やその他の企業でもSE(システムエンジニア)として働く方の健康障害、
特にメンタル疾患の有病率は高いものです。
その一方、雇用されている営業職は過重労働と過剰なノルマがなければ、意外に低いものです。
先日あるゲームソフトを製作する企業から、SE向けに健康管理を強化したいと依頼がありました。
私は、IT系企業での健康管理は数社で長年させていただいておりますが、
臨床経験から見てもまず挙げられる問題が、「概日リズム睡眠障害」です。
IT系の方々は、夜ふかしをして夜中3,4時まで、仕事なり、趣味のゲーム、ネットサーフィンなどする方が目立ちます。
このような方が、早めに、といっても常識的な時間24時ごろに寝ようと思っても眠れない、という症状がでます。
それにより起床困難になり、会社生活に適応できなくなるのです。
また、就寝直前までPC画面やスマホを見ていることによる脳の覚醒作用も指摘されてます。
このようなタイプの睡眠障害睡眠薬が効きにくいため、治療が困難です。
そのため、予防がとっても大切なのです。
具体的には、日ごろから就寝時刻を日付が変わる前にする、など自分自身で目標を立てましょう。
このような指導を人事部から発信するのもよいでしょう。
就業時刻により就寝時刻の設定は多少変わるかもしれませんが、
遅くても25時には就寝するようなリズムを作るようにしましょう。
産業医として現場を見ていると、このような「睡眠リズム障害⇒うつ症状」はSEの職業病にさえ感じます。
建設業の危険業務同様、SEの業務のリスク管理は大切です。
このような社員教育に是非、力を入れていただけたらと思います。
以下に、参考に厚生労働省の資料を添付します。

概日リズム睡眠障害
 概日リズム睡眠障害は、大きく二つに分けられます。一つは、人為的・社会的な理由により体内時計を短期間にずらさなければならない場合に起こるものです。先ほど述べました時差症候群、および交代勤務睡眠障害がそれにあたります。もう一つは、体内時計が外界の周期に同調する機能に問題がある場合に起こるもので、内因性概日リズム睡眠障害といいます。内因性概日リズム睡眠障害としては、深夜にならないと寝付けず昼頃まで起きられないという睡眠パターンが固定してしまう睡眠相後退症候群、反対に夕方になると眠ってしまい早朝に目が覚める睡眠相前進症候群、寝付く時刻と目が覚める時刻が毎日30分〜60分ずつ遅れていく非24時間睡眠覚醒症候群、および睡眠と覚醒のリズムが見られなくなってしまう不規則型睡眠覚醒パターンがあります。内因性概日リズム睡眠障害の睡眠覚醒スケジュールの模式図を図1に示します。
厚生労働省
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-006.html